2020-03-30

新型コロナで「FIT抜本見直し」の運用に影響も

日経BPから転載


太陽光業界も無関係でない

太陽光発電業界に対しても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による社会的混乱の影響は、直接的ではないものの、徐々に出始めている模様だ。

 2020年2月に東京ビックサイトで開催された太陽光発電展(PV EXPO)でも、出展の取り止めや、講演者の辞退、外国人来場者の減少などから、例年に比べて寂しい光景となったようだ。今回は、新型コロナウイルスによる社会的影響が、どのように太陽光業界に押し寄せようとしているのかについて考察する。





新型コロナウイルス感染症の国内発生動向

(出所:厚生労働省・3月26日公表)




地域との「対話」は不可欠

 太陽光発電業界においては、新規開発案件に対する悪影響が最も懸念されるところだ。新規開発のためには、地権者との合意、地域住民との合意、役所との合意、許認可取得手続きの実施、技術設計仕様の決定などにおいて、事業者と相手方との対話を通じた相互理解が欠かせない。

 人は、相手がどんな人間なのかがわからないと、なかなか同意して、判子を押すことができない。内容がより自分にとって重要なことについては、意思決定するために信頼できる人なのかが判断基準となることが多い。

 太陽光発電の開発現場において、同意を求められた側は対話を通じて、その事業者の本音はどこにあるのか、誠意ある振舞いをする事業者なのかを見極めようとする。しかし、直接の面談、集会、飲食を伴ったコミュニケーションが出来ないと、相互信頼を醸成していくことが極めて困難である。

 テレビ会議が役に立つのは、このような関係を醸成した後のコミュニケーションである。このようにして、開発がスケジュール通り進まない例が増えてきているようだ。固定価格買取制度(FIT)案件であれば、スケジュールの遅延は買取単価の下落、認定の失効、売電期間の短縮など経済的損失につながる恐れがあるため、開発事業にとっては最も避けたい事態である。


中国から調達できず完工遅れも

次に影響があるのが、中国工場の生産停止、日本と中国間で物流が停滞することによる太陽光関連部材の調達の問題である。

 太陽光パネル、パワーコンディショナー(PCS)、架台などの主要部材の多くは、中国からの物流が止まってしまえば調達不可能だ。したがって、中国工場の本格稼働が始まっていない部材については、代替部材を探すか、待たざるを得ない状況になっている。

 EPC(設計・調達・施工)サービス事業者は、完工遅れに対してペナルティを支払う契約をすることもある。新型コロナウイルスの影響は、このペナルティの対象となるのかどうか、ペナルティの対象となる場合に保険適用ができるのかどうか。今後、問題となるケースが出てくると予想される。

 このような状況下で、経済産業省に対し、FITに関わる不利益に関して救済措置を求める声も上がっているという。



新型肺炎の世界的な感染拡大により世界経済が停滞しつつある

(出所:ジョンズ・ホプキンズ大学のシステム科学工学センター・3月27日公表)



FIT新ルールの詳細が見えない

 新型コロナウイルスは、経産省による規制やルールメイキングにも影響を与えている。2020年2月25日「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、本法案は第201回通常国会に提出される予定だ。

 しかし、概要が決まったものの、民間事業者にとって重要な細目が決まらず、事業者の対策に遅れが生じている。当初、閣議決定後、速やかに審議会などを開催し、詳細なルールの討議に入る予定であったが、会議の開催が軒並み延期されたため、当初のスケジュールから遅延している。

 本来、再エネ特措法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)の抜本見直しによる改正案がこの国会で承認されれば、FITの大幅な変更が順次実施されていく見込みである。しかし、変更が決まっているのに、実際のルールが決まっていない状態が長引けば、事業者の準備の機会を失うことになり、事業者の不満は大いに高まるだろう。業界団体などからも、新ルールの実施時期の変更要請があると予想される。




FIT抜本見直しの概要



FIT抜本見直しの概要
(出所:経産省)



現場の人間に求められる姿勢

 このように新型コロナウイルスによる社会的混乱は、新しい発電設備の開発や、FIT抜本見直しの運用に悪影響を及ぼしている。しかし、太陽光発電業界で働く者はこのような状況下でも業務を誠実に実施することが重要だと思う。

 なぜなら、太陽光発電設備は電力インフラの一端を担う存在であり、新型コロナウイルスの影響があったとしても電気を止めるわけにはいかない。

 パンデミックを防ぐべく懸命に働いている医療機関の方々の活動も、電気なしに継続できない。このような状況であるからこそ、使命感を持って日々の業務を粛々と行う、こうした姿勢が基幹電力の一端を担う者として求められるのではないだろうか。




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