2020-09-10

FIPの制度設計スタート、「基準価格」はFITと同水準

(日経BP)


経済産業省は8月31日、有識者会議を開き、固定価格買取制度(FIT)の抜本見直しを含む「エネルギー供給強靱化法」の成立を受け、具体的な制度設計に着手した。


 会合では、以下3つのテーマを討議した。(1)FIP(フィード・イン・プレミアム)制度の詳細設計とアグリゲーションビジネスのさらなる活性化、(2)電力ネットワークの次世代化、送電線設備の増強・利用ルールの高度化、(3)長期未稼働案件への対応

 FIP制度とは、再生可能エネルギー発電事業者が電力卸市場への売却など市場価格で電力を販売する場合、プレミアムを上乗せする方式。売電単価に市場変動の要素を加味しつつ、プレミアム分だけ売電単価を高くすることで再エネの事業性を高め、普及を後押しする。

 2022年度から導入する予定で、大規模な太陽光や風力など、競争力向上が見込まれる再エネ電源がFITからFIPに移行することになる。これにより、国内の再エネ推進制度は、FITとFIPが併存する形になる。

 経産省は、これまでの有識者会議のなかで、国内FIP制度のイメージを以下のように説明してきた。売電収入の基準となる「基準価格(FIP価格)」をあらかじめ決定しておく一方、一定期間ごとにある程度市場に連動した「市場参照価格」を設定し、基準価格と参照価格の差をこの一定期間内の「プレミアム」として固定する。


国内で検討されているFIP制度のイメージ
(出所:経産省)

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 この場合、発電事業者の収入は、市場価格にプレミアム分を足した合計になる。収入は市場変動によって常に変動するものの、プレミアムは短期・一定期間は固定、長期的に変動する。これまでの議論では、市場参照価格は1カ月から1年程度ごとに見直すイメージを示している。

 従って、制度設計にあたっては、「基準価格(FIP価格)」と「市場参照価格」の決め方、参照価格を変更する頻度などがポイントになる。



基準価格・交付期間ともFITに準じる

 今回の会合では、「基準価格」については、「積極的なFIP制度への参入を促して電力市場への統合を進めるためにも、最初は、FIP制度の基準価格(FIP価格)を、FIT制度の調達価格と同じ水準とする」とし、調達価格等算定委員会で審議して決めるとの事務局(経産省)が示された。


 また、プレミアムによって支援するFIPの期間(交付期間)についても、事務局案は「FIT制度における調達期間(買取期間)と基本的に同じとする」とし、20年がめどになる。


 「市場参照価格」に関しては、参考とする市場価格の指標として、全国統一の「システムプライス」ではなく、実際の取引価格に近い「エリアプライス」を参照すべきとした。また、変更する頻度に関しては、(1)蓄電池の活用などで、事業者の工夫が期待できるか、(2)過度に不確実性が高くならないか、との観点を踏まえ、「次回以降、検討すべき」とし、今回は具体的な変更頻度の案を示さなかった。委員からは、1カ月が適当ではないか、との意見もあった。

FIPでは、市場価格の高い時間帯に売電量を増やすインセンティブが働く
(出所:経産省)
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 そのほかの重要な論点としては、FITでは賦課金を負担する国民に帰属していた再エネの「環境価値(非化石価値)」について、FIPでは、発電事業者に属すとの方向性はすでに公表されていた。従って、FIPの下では、発電事業者は、電気とは別に環境価値を販売できる。こうした背景から。今回の会合では、「非化石価値相当額が再エネ発電事業者自らの収入となることを踏まえた上でプレミアムの額を設定するなどの留意が必要」としている。


 ただ、一方で、FIPへの移行に伴い、発電事業者が発電量を予測し計画を策定することになる。そこで、事務局案では、「計画値同時同量に対応するためのコスト(バランシングコスト)にも配慮することが適当」とした。


 FIPの基準価格については、FITと同じ水準をベースとしながらも、非化石価値販売による収入や、バランシングコストに配慮しながら、適正なプレミアムに関して検討し、制度設計が進むことになりそうだ。


 なお、FITからFIPに移行する再エネ電源の種類や規模、FIP対象電源のうち入札制度を適用される出力規模などに関しては、次回以降の検討項目として、具体的な事務局案は公表されなかった。



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