2020-06-12

FIT抜本見直し、法案成立し「FIP」設計が次の焦点に

日経BP


 固定価格買取制度(FIT)の抜本的な見直しを規定する「再生可能エネルギー特別措置法・改正案」が6月5日に、参院本会議で可決し、成立した。これにより、再エネ推進策は、「コスト低下を促す大規模電源」と「地域のレジリエンス(災害対応力)向上に貢献する小規模電源」に分け、前者の買取価格は固定から市場連動に移行する。

 これまでの有識者会議での検討を通じ、経済産業省は、市場価格に連動する仕組みとして 「フィード・イン・プレミアム(FIP=Feed in Premium)」を示し、改正法でも同制度を想定している。FIPとは、再エネ発電事業者が電力卸市場への売却など市場価格で電力を販売する場合、プレミアムを上乗せする方式。売電単価に市場変動の要素を加味しつつ、プレミアム分だけ売電単価を高くすることで再エネの事業性を高め、普及を後押しする。


FIP制度の仕組みイメージ
(出所:経済産業省)

 太陽光の場合、すでに連系出力10kW以上50kW未満の低圧連系案件に関しては、自家消費を前提とした「地域活用電源」に移行し、停電時の自立運転機能を条件にFITによる余剰売電になった。ただ、一定条件を満たした営農型は、全量FIT売電を認められた。

 今後焦点となるのは、50kW以上の高圧連系案件のうち、何kW以上がFIPに移行するのか、という点だ。今年度から、250kW以上の太陽光が入札制に移行したため、仮にFIPと入札制を連動させるなら、250kW以上がFIPの対象となる。入札するのは、売電収入の基準となる「基準価格(FIP価格)」になる。また、その場合、50kW~250kWの領域が地域活用型太陽光となり、低圧太陽光と同様、FITによる余剰売電に移行する可能性もある。

 だが、経産省では、「FIPと入札制は必ずしも連動しない」としているため、例えば、50kW~250kWの案件はFIPに移行するが、入札制度の対象ではなく、調達価格等算定委員会でFIP価格を事前に決めるという制度設計もあり得る。

 今後、有識者会議や調達価格等算定委員会で、こうした高圧連系太陽光の出力規模別の推進策について議論されることになる。


どうなる「市場参照価格」

 また、FIPの運用に関しても、詳細設計での論点が多い。これまでの経産省が示したFIPのイメージでは、売電収入の基準となる「基準価格(FIP価格)」を予め決定しておく一方、一定期間ごとにある程度市場に連動した「市場参照価格」を設定し、基準価格と参照価格の差をこの一定期間内の「プレミアム」として固定する、という仕組み。


これまでに経産省が公表したFIPの仕組み概要
(出所:経済産業省)

 発電事業者の収入は、市場価格にプレミアム分を足した合計になる。収入は市場変動によって常に変動するものの、プレミアムは短期・一定期間は固定にしておくが、長期的に変動する。これまでの議論では、市場参照価格は1カ月から1年程度ごとに見直すイメージを示している。

 「市場参照価格」をどのように決め、どの程度の期間ごとに見直すのか、によってプレミアムが大きく影響を受けるため、発電事業者にとって影響が大きい。

 加えて、FIPでは、再エネ発電事業者が売電先を自分で見つけて小売契約を締結し、発電計画値を自分で作成する仕組みになる。これは買取価格の市場連動への移行とともに大きなリスクになる。というのは、計画値のインバランス(発電量予測が外れた場合のペナルティ)のリスクを負うことになるからだ。

 これに備え、発電量予測のノウハウを蓄積したり、専門事業者などに依頼したりする必要がある。今回、FIT見直しとともに、電気事業法を改正し、「アグリゲーター」を法的に位置づけたのは、こうした事業変化にも対応している。例えば、アグリゲーターが複数の太陽光発電所の発電量をまとめて予測するようなサービスも想定できる。

 こうしてみると、FIPへの移行は、制度設計が複雑なうえに、発電事業者にとってビジネスモデルが激変する。経産省では、早ければ2021年度からの移行を目指すが、事実上、2021年度は移行期間(準備期間)となり、本格導入は2022年度になる可能性もある。

 太陽光発電のデベロッパーにとっては、大規模化してFIPで売電するのか、小規模の地域活用電源としてFITによる余剰売電を選ぶのか、または、完全自家消費やRE100企業などとのコーポレートPPA(電力購入契約)で、国の政策支援に頼らない道を選ぶのかなど、政府による制度設計を睨みつつ、次のビジネスモデルを模索することになる。

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